

インターネットの普及が進むにつれ、消費者の情報接触状況は大きく変化しています。それは、例えば情報過多や各メディアの同時接触、インタラクティブ化などです。
また、インターネットという新しいメディアの浸透が進むにつれて、既存メディアの役割・価値も変化してきています。
このような消費者変化の中、マーケティング実務の世界では広告の効果が変化してきているともいわれています。
情報を発信する側である企業は、インターネットを含めた各メディアをどのように使えば効率良く消費者にコミュニケーションできるのか試行錯誤を繰り返しています。
そこで、消費者の情報接触状況の変化という環境の中で、これまでの経験則などによるメディア選定に代わる、明確な選定基準を明らかしたいと考えました。
この研究の主な目的は、商品のカテゴリー特性に基づいてメディア選定基準を明確化することにあります。
| 1、 | 商品カテゴリー特性から直接にメディア戦略への示唆を導き出している点 | |
| 2、 | ロシター・パーシー・グリッドのカテゴリー分類方法(後述)を応用することによって、当該調査カテゴリーの化粧品・日用品以外のカテゴリーに対しても、本調査の結果を応用できる点 | |
| 3、 | 研究の結果を実務に取り入れることで、マーケティング費用の効率化につながる点 | |
において意義のあるものだと思います。

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| 出典:Rossiter and Percy(2000)、P433を一部改訂 | |
| ※【ロシター・パーシー・グリッド】補足 | |
上の表の「情報型」「変換型」は例えばどんなことかといいますと・・・ |

| 【仮説-2-a】 | 高関与・情報型カテゴリーでは、雑誌(記事・広告)、企業HP、ショッピングサイト、カタログ・リーフレット、店員(化粧品メーカーの美容部員を想定)の接触率が高い。 | |
| 【仮説-2-b】 | 高関与・変換型カテゴリーでは、クチコミサイト、友人からのクチコミの接触率が高い。 | |
| 【仮説-2-c】 | 低関与・情報型カテゴリーでは、新聞(記事・広告)、通販カタログ、ダイレクトメール、企業からのメール、チラシ、店頭の接触率が高い。 | |
| 【仮説-2-d】 | 低関与・変換型カテゴリーでは、TV(CF・番組)、バナー広告、試供品の接触率が高いと考える。 | |

アンケート調査は、20歳から59歳までの女性に対して行い、有効回答数は561名でした。対象カテゴリーは、化粧品・日用品からロシター・パーシー・グリッドの全ての象限をカバーできるよう10カテゴリーを選択しています。化粧品・日用品は、それぞれ女性の使用率は高いものの、関与・購買頻度・価格・購入チャネルについて異なる特徴を持っています。したがって両極端の特性を持つこの2つのカテゴリーで調査することにより、他のカテゴリーへの示唆をも導き出せると考えました。
調査の分析として、まず初めに全体ベースでのデータを用いて、関心度・購買動機のスコアより各カテゴリーをロシター・パーシー・グリッドへプロットしました。
続いて【仮説-1】の検証のために、接触メディアでの分類を階層的クラスター分析で実施。しかしながら、全体ベースでの分析からは、【仮説-1】は支持されませんでした。
継続購入者は、メディアの影響よりも個々人の経験則の影響が高い可能性があるため、このような結果になったものと考えられます。
そこで、初回購入者ベース(今回購入した銘柄は初めてだった人)で、前述のように関心度と購買動機から各カテゴリーをロシター・パーシー・グリッドへプロットし、接触メディアで階層的クラスター分析を実施。
結果は、購買段階において【仮説-1】は支持されました。これまでも関与の高低によって、メディアの接触状況が異なることは論じられてきましたが、本研究の結果より、初回購入者での購買段階に限定はされるものの、カテゴリーの関与と購買動機でメディア接触状況を分類することが可能となったと言えます。
更に【仮説-2】を各クラスターの接触メディア比率の差の検定をすることで検証してみると、【仮説-2-a】と【仮説-2-c】は支持されたが、【仮説-2-b】は支持されませんでした。また、【仮説-2-d】については低関与・情報型にプロットされたカテゴリーが出現しなかったため検証できませんでした。まとめると、初回購入者ベースの購入段階において、高関与・情報型カテゴリーでは、高関与・情報型メディア接触率が高いことが確認され、また、低関与・情報型カテゴリーでは、低関与・情報型メディアの接触率が高いことが確認されました。
この研究の結果より、同じ関与の程度と同じタイプの購買動機を持つカテゴリー同士は、初回購入者での購買段階において、類似したメディア接触状況になることが明らかとなりました。この結果は、カテゴリー特性に基づいた効果的かつ効率的なメディア選定へ活用できると考えます。