どこか遠い政治のハナシ 2012 年度 大学院生支援プログラムより(その2)|『大学院生調査研究レポート』

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2013.04.12|2012年度 |

どこか遠い政治のハナシ 2012 年度 大学院生支援プログラムより(その2)

どこか遠い政治のハナシ 2012 年度 大学院生支援プログラムより(その2)

昨年12月の衆議院選挙は、政権交代もあり皆さんの関心は高かったように思えます。今年に入り、その合憲性を問う裁判があり、選挙制度の見直しも具体化しつつあります。また、インターネットによる選挙活動も解禁されるという新しい方向性も出てきました。私たちと政治の関わり方がすこしずつ変化しそうな予感がします。

さて、第二回の大学院生支援プログラムの研究テーマは、


「政治に関する会話が政治的な関心や関与にどのような影響を与えるのか?」

です。日常の政治に関する何気ない会話が、果たして私たちの政治意識を高めるのか?

一橋大学大学院 横山さんの研究成果を掲載させていただきますので、お楽しみください。
 


研究テーマ:「政治的会話が政治的関与に及ぼす効果
       ― 2012 年 12 月衆議院議員選挙前後におけるパネルデータ分析 ―」

執   筆:一橋大学大学院社会学研究科 横山智哉



 

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1. 本研究の問題意識と目的

普段、私たち有権者が政治過程に直接関わることや、政治家や政党と直接的な接触を持つ機会は非常に限られており、政治に関する情報の多くはマスメディアによって媒介されています。このことからも多くの先行研究は、マスメディアが人々の政治意識に及ぼすポジティブな効果を明らかにしており、現代においてマスメディアが果たす政治的機能は非常に大きいといえます。


一方で、これまでの研究は「マスメディアと政治」との関連性に多くの注意を払うことで、私たちが日常的に行なっている政治に関する会話の効果を見落としていると考えられます。例えば、多くの人は、日常的に親密な他者である家族や友人と政治に関する会話を行なっていることが明らかにされています(Kim, Wyatt, & Katz, 1999)。このことからも多くの人が、日常的に政治に関する会話を行なっているのならば、たとえ政治に関する会話の内容が「世間話」のようなものであったとしても、政治的なダイナミクスとなりうる可能性を秘めていると想定されます。


しかし、政治に関する会話とその効果に関する定量的な分析は近年盛んになっているものの、そのような研究の潮流は20年間に過ぎず(Eveland, Morey, & Hutchens, 2011)、多くの問題が山積しています。主要な問題の 1 つとして政治に関する会話が、有権者の政治意識に対してどのような影響を及ぼしているのかという点が十分に検討されていません。従って、本研究は、政治に関する会話が民主主義社会を支える上で必要不可欠な心理的変数に対してどのような効果をもたらすのかを明らかにします。



2. 本研究の仮説

一般的に多くの有権者は「政治はどこか遠い世界の話」という印象を抱いており(木村, 2000)、そのような印象は政治に対する心理的な距離感が反映しています。本研究は、そのような「自分と政治との心理的距離感」を表す指標であり、有権者の政治意識の中でも基底的な心理的変数である政治的関与(小林, 2008)に注目をします。

私たちは、政治に関する情報の多くをマスメディアから間接的に獲得していますが、政治を身近に感じることができるのはマスメディアを通じてではなく、日常生活の中で頻繁に交わされている政治に関する会話においてであると考えられます。


以上の議論から以下の仮説群を導きました。


 仮説 1:政治的会話を行えば行うほど政治的関与が高まる

 仮説 2:政治情報源としての各種メディア利用(新聞・テレビ・インターネット)は、
       政治的関与に有意な効果を持たない




3. 調査概要

2012 年 12 月の衆議院議員選挙の前後に全国の 20 代から 80 代の有権者を対象に、オンライン上で 2 波からなるパネル調査を行いました。まず第 1 波は全体の計画サンプルを 1,200 と設定し 2012 年 11 月 23 日から 26 日にかけて 1,282 名の有効回答数を得ました。次に第 2 波は第 1 波の有効回答者 1,282 名を対象とし、2013 年 1 月 23 日から 27 日にかけて 917 名の有効回答数を得ました(回収率=71.5%)。


4. 本研究の結果

分析の結果、政治的会話は政治的関与にポジティブな効果を及ぼしていることが明らかになりました(仮説 1 支持)。すなわち、政治的会話は政治への心理的距離感を縮めることが示されました。その一方で各種政治情報源としてのメディア利用は、政治的関与に対して有意な影響を持たないことも明らかになりました(仮説 2 支持)。

5. 考  察

本研究は政治的会話が政治的関与に及ぼすポジティブな効果を明らかにしました。一方で、これまでの先行研究において従来用いられてきた政治情報源としてのメディアが、政治的関与に対して有意な効果を及ぼしていないことも注目に値します。すなわち、単なるメディアからの政治情報への接触だけでは政治への心理的距離感は縮まらず、日常的な場面において政治に関するトピックを話すことで、政治への心理的距離感が縮まることが示唆されました。
 

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本研究で得られた知見は、従来のメディアと政治との関連性に注目してきた先行研究では考慮されてこなかった政治的会話のポジティブな効果であり、今後より一層、政治的会話が民主主義に及ぼすポジティブな効果が注目されると考えられます。

 



    

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