インターネットバンキングの顧客満足度 ~2013年度大学院生支援プログラムより(5)|『大学院生調査研究レポート』

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2014.08.05|2013年度 |

インターネットバンキングの顧客満足度 ~2013年度大学院生支援プログラムより(5)

今回は2013年度にお手伝いさせていただいた研究の第五弾。
「インターネットバンキング」に関する研究成果をご紹介します。
皆さんの中にもインターネットバンキングを利用される方は多いかと思います。インターネットが
広く普及し、現在では多くの銀行がインターネットバンキングのサービスを提供しています。
そんな競争が激しい環境では、ネットの向こう側にいる顧客の満足を的確に把握することが非常に
重要になります。
インターネットバンキングユーザーの顧客満足度を上げる要因について分析した研究成果の一部を
簡単にご紹介します。
New図1.jpg

■オンライン調査におけるインターネットバンキング顧客満足度分析■          
:筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 国際経営プロフェッショナル専攻 千葉敦子
■研究内容
インターネットバンキングの顧客満足度は、どのような因子から影響を受けているのか検討する。
■仮説
1. 安全性:堅牢で強固なオンラインセキュリティが充実していると顧客満足度が高い
2. 親身性:オンライン操作について困った場合のQ&Aなど充実していると、顧客満足度が高い。
3. 簡易性:オンライン操作が簡単であると、顧客満足度が高い。
4. 操作性:整理された画面や取引中の画面応答速度などが早いと、顧客満足度が高い。
5. 利便性:時間、場所、道具などを選ばない万能なサービスは、顧客満足度が高い。
6. 情報充実度:知りたい情報、新しい情報などが充実していると、顧客満足度が高い。
7. 特典:インターネットバンキング利用者特有のサービスが充実していると、顧客満足度が高い。
8. 不満・不安:インターネットバンキングを操作するうえで不安や不満などがあると、顧客満足度は低い。
9. 要望:現在使用しているサービスにはないが、あればいい、またはあったら便利と思うサービスがあれば
あるほど、現在のインターネットバンキングサービスに充実感を得ていて、それなりに顧客満足度は高い。
■実施した調査
過去半年間で2回以上インターネットバンキングにアクセスし、サービスを利用したことのある10代から
70代までの男女にインターネット調査を実施。有効回答数は986件。

■研究結果(*今回の調査結果にかかわる部分)
◎調査結果
 年代別にみると、60代女性が一番多く、次に40代男性が多い。3番目は40代女性と60代男性となっている。40代は人生の中で何かとイベントが多く、資産の流動も激しい。インターネットバンキングは時間、場所を
選ばず、残高参照、資産運用その他のサービスが銀行の窓口並みに受けられるため利用者が多いものと
思われる。
また、60代の回答者は、定年退職した社会人や、子育て終了、住宅ローン返済完了し、老後の資金運用に
インターネットバンキングを利用するために頻繁にインターネットバンキングを利用し始める利用者だと
思われる。
各サービスごとにみても、注目すべきはやはり60代である。特に決済サービス、運用サービス利用者では
60代利用者が一番多く、保有資産額も高額者が多かった。自由に投資できる資産額が多く、時間的余裕も
ある60代により多く積極的に利用してもらえるようなサービスを心がけるよう、リテールバンクは努力するべき
であるといえる。
◎分析結果

共分散構造分析(SEM)を実行した。図はモデル図を表したものである。
1で、モデル図の適合度を表した。
2では、各潜在因子から顧客満足度因子への標準化パス係数を表した。標準化パス係数では、
情報充実度、特典、要望の因子から顧客満足度へのパス係数が5%水準で有意となった。
また、要望因子は安全性、情報量、専門的アドバイスへ5%水準で有意となった。

SEM.jpg
図:インターネットバンキング顧客満足度モデル
1:モデル適合度
回答者数
χ2
df
RMSEA
AIC
CFI
986
7368.293
1497
0.063
7794.293
0.799
2:標準化パス係数
仮説パス
仮説
標準化係数
確率
安全性 → 顧客満足度
H1
-0.009
0.856
親身性 → 顧客満足度
H2
0.042
0.489
簡易性 → 顧客満足度
H3
0.224
0.054
操作性 → 顧客満足度
H4
0.037
0.621
利便性 → 顧客満足度
H5
0.071
0.221
情報充実 → 顧客満足度
H6
0.122
0.028
特典 → 顧客満足度
H7
0.207
0.005
不満・不安 → 顧客満足度
H8
-0.05
0.123
要望 → 顧客満足度
H9
0.122
***
要望 → 安全性
0.633
***
要望 → 情報量
0.962
***
要望 → 専門的アドバイス
0.797
***
◎結論
各潜在因子から顧客満足度へのパス係数が5%水準で有意である因子が「情報充実」、「特典」、「要望」
となり、仮説6、仮説7、仮説9が支持された。
「情報充実」とは、オンラインで提供できる個人にとって必要な情報、たとえば残高履歴、利用できる
新規サービス、投資商品の情報量のことである。インターネットバンキング利用者は、インターネットを通じて
できるだけの情報を収集し、残高照会、決済、資産運用を遂行する。そのため、必要な情報が簡単に、
わかりやすく提供されることが重要である。例えば、残高照会の情報として過去残高推移がグラフ、チャート
で表示される、ダウンロードできる、入出金明細理由が表示される、新しい運用商品の情報提供などが
挙げられる。
「特典」とは、インターネットバンキング利用者向けの特典、たとえば金利優遇、為替手数料無料などである。特別キャンペーンとして多数のリテールバンクが提供しているように、ネット利用者特有の特典は、やはり顧客満足度を上げる重要な要因であるといえる。
最後に「要望」である。これは、今のインターネットバンキングサービスにある程度満足はしているが、
さらに応用の効いたサービス、たとえば無料で電子マネーへのオートチャージができるとか、残高に
合わせて特別ポイントが無料で付加され、他のサービスや特典に利用できる、といったものや、
他の金融会社と連携し、幅広い投資商品への投資機会の多様性などである。 
 さらに「要望」因子が5%水準で有意に寄与している因子として、「安全性」「情報量」「専門的
アドバイス」が挙げられる。
「安全性」は、堅牢なオンラインセキュリティに対する期待、「情報量」は他行、他証券会社などと連携した
サービスの拡充や、それに伴う情報量の充実と投資機会の拡大、「専門的アドバイス」は老後の
資産運用、相続、事業継承の手続きや、住宅ローン返済アドバイスなど、金融専門家ならではの的確な
アドバイスを求める顧客の要望を反映しているといえる。


    

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