5月の中旬に富士登頂を目指し春近づく富士に行ってきました。冬期に唯一営業している佐藤小屋に前泊しましたが異常なほど暖かかったです。小屋では厳冬期の富士登山の様子を撮影したTV番組の録画を見ながら、時期が違うとはいえ皆真剣に見ていました。
登山当日は前日からの小雨は霧雨に変わり、何とか登れそうな雰囲気でした。写真は登りはじめて直ぐの夜明け直後の五合目稜線です。青空も見え期待できそうでした。
六合目手前から映した雲の様子です。青空ですが天候が悪化する前の不気味な雲でした。
六合目の途中からは登山路の雪も深くなってきて、アイゼンを付けての登りになりました。雪質はザラメ状で、アイゼンの爪が利かず歩きにくかったです。天候は霧雨と小雨が入れ替わる状況でした。
七合目以上は、風が非常に強くハーネスをつけガイドとロープでお互いを確保(アンザイレンといいます)しての登りになりました。風は常時20m近くあり歩くのも大変でした。その後は烈風状態になり多分風速は30mくらいではなかったかと思います。片足になった時に何度も風で体が浮き上がり吹き飛ばされる恐怖を感じました。この辺りからはとても写真を撮る状況ではありませんでした(^^;。
以降の写真は六合目、七合目近辺から撮ったものです。
八合目近辺は常時烈風が吹き荒び、2-3歩あるくたびに吹き飛ばされないようピッケルを雪に深く差し込み、体勢を低くする耐風姿勢をとる状況になりました。強い風が氷状の雪や小石を一緒に吹き飛ばし、マウンテンジャケットやヘルメットに叩きつけます。さすがにこれ以上は危険と判断し撤退をしました。
この状態での下山は登りより更に大変で、何度も怖い思いをしながら何とか6合目まで降りてきました。登頂はできなかったものの強風の中でのアンザイレン、アイゼンワーク、ピッケル操作など耐風雪山歩行の貴重な体験が出来ました。独立峰である富士烈風恐るべし!!!
でもなぜか下山後に青空を見ていると心の鬱積をすべて吐き出した爽快感、一種の癒しを感じました。